”つち式の活動は、すでに稲作、畠作、養鶏、草刈りと多岐にわたるが、今後はこれらに杉山を雑木山に育む活動も加え、二百年の里山制作計画「里山二二二〇」として推し進めていく所存だ。”(p.34 二百年の里山)
奈良の大宇陀に移り住み六年、人間社会から距離を置き、米を作り、鳥を飼い、土に触れることで生きることの悦びを見出して来た著者東さんが目を向け始めたのは自らの家、畑を取り囲む山と樹木だった。植物を静ではなく動、人間の尺度で測るのではなく、もっと拡がりのある空間、時間を持つものとして捉えること。人間と異種との絶えざる交流が里山の土壌を育んでいく。里山二百年の構想がここに。
そして「つち式二〇一七」に続き、サクラ、キウイ、蛙、カヤネズミ、アカハライモリら動植物との交わりを記し、共に田を耕す人類学者磯田和秀との対談でこれからの里山について語り合い、養鶏の喜怒哀楽を緩やかに語る。
東千茅、恢復後の物語。
写真・文:東千茅 意匠:西田有輝 協力:磯田和秀 応援:間宮尊 ソフトカバー2021初版 77p
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