山の夜、野営が天候に左右され、いかに危険なことかを語った後、著者の石川さんは続けてこう言います。
そうまでしてまた山に登り、テントを張るのは何故か。
「それは一つに、人間という生身の動物の内に沈黙している、生きるための技術、生きようとする力その喜びが、山で呼び覚まされているからではないかと思うのだ。」
都市と自然の繋がり、山登りの天候に対処する技術(生きるための技術)、発電と送電、山林と窯業、、
人間が培ってきた技術(テクネー)についてその発展と行くすえを山登りの体験から哲学的に思考し詩的に綴られています。
人類学、民俗学に興味のある方、串田孫一が好きな方には刺さる一冊。
ロングセラーになっている創刊号「富山」と合わせてどうぞ。
文・挿画・発行:石川吉典 装丁:原田光 2021.4 ソフトカバー 67p
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