「(戦争によって)わたしは目に見えない傷を負って成長し、信ずべきものを無意識にいつも求めて生きていたのかもしれません。はじめて民話を語ってもらった時、その語りに滲む物語の世界の深みと、この土台文化を支えてきた底辺の暮しの健気に心を奪われました。」
1969年に宮城県を中心に東北の村々へ民話を求めて訪ね歩く「民話採訪」を一人で始めた小野和子さん。
3.11を機に小野さんに出会った編集者は「民話採訪ノート」からまとめられた手製本を渡され、そこに収めれた物語に大きく心を揺さぶられ、多くの人に読まれるべき本にしたいと決意し、ここに完成させました。
採訪の旅日記と18の民話がここには収められています。
日本社会の光と闇、人々の喜びと悲しみ、ユーモアを交え語られる民話には現代の人々に受け継がれるべき知恵と想像力が備わっていました。(読み進めるたびにあっと驚く話の連続です)
歩き出したら止まらなくなった、と語りこの旅は50年経った今も続いているそうです。
素晴らしい装丁と写真にもご注目ください。
bbb大推薦の一冊です。
寄稿:濱口竜介(映画監督)、瀬尾夏美(アーティスト)、志賀理江子(写真家)
編集:清水チナツ
写真:志賀理江子
デザイン:大西正一
著者:小野和子 発行:PUMPQUAKES 2022 4刷 A5変形 ソフトカバー 368p
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