日本にある「13」のハンセン病療養所。
お笑いコンビを経て現在は俳優、ナレーターとして活躍している石井正則が隔離されたこの13の療養所を訪れ、写真に収めました。
中古の二眼レフを手にしたことをきっかけに本格的に写真撮影をはじめ、初めての写真集が本書です。
一度入所すれば出ることは許されないため、各施設には火葬場、納骨堂まで設けられていました。
約90年続いた国の誤った隔離政策が作った場所、土地、そしてそこで暮らした人々の記憶。
もう一つ、一生をここで暮らすこととなった入所者たちは歌を唄い、俳句を詠み、詩を書き、絵を描き、音楽を奏でていました。その中でも詩は特に注目され、本書では入所し詩人となった人々の詩を写真と共に紹介しています。
「新編 志樹逸馬詩集 若松英輔編」(亜紀書房)と合わせてどうぞ。
【掲載詩】
国本昭夫「妹の手紙を見て」
久保瑛二「心のたより」
水野きよし「母」
塔和子「金魚」
厚木叡「伝説」
森春樹「微笑まなかった男」
秋田穂月「島の火葬場にて」
中石としお「石女」
北浜知代「解剖」
島村静雨「海と断層」
C・トロチェフ「びよういんのさくら」
越一人「栗生望学園」
近藤宏一「舌読」
西羽四郎「癩憲章」
森中正光「指」
戸田次郎「解剖室の感想」
福寿美津男「特別病室」
藤本とし「呼吸のおくで」
島田等「橋」
谺雄二「ライは長い旅だから」
堂崎しげる「ひかりについて」
志樹逸馬「曲った手で」
島比呂志「病める樹よ」
著者:石井正則 装丁:寄藤文平+古屋郁美 出版社:トランスビュー 2020 初版 ハードカバー 176p
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