津波に流された町の地面の下に、静かに、しかし厳然として、
かつての町が横たわっているのだと語る瀬尾さんの文章に、
わたしは灯される明かりを見る思いがしたのでした。
──小野和子(民話採訪者「あいたくてききたくて旅にでる」)
僕の暮らしているまちの下には、お父さんとお母さんが育ったまちがある
物語の舞台は二〇三一年、陸前高田市。
二〇一五年に震災後のかさ上げ工事で約 10m の高さの新しい地盤が築かれた。かつての街跡が文字通り失われていく光景を目の当たりにして物語の着想を得たという。
物語は過去と現在、そして未来を生きる人を繋ぐ糸になる。
瀬尾さんの前作「あわいゆくころ」に続く震災後の光景と生活をツイッターで語った「歩行録」も掲載。
また、本作は映画化され全国で順次公開されます。
著者:瀬尾夏美 出版社:書肆侃侃房 2021 初版 ソフトカバー 253p
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