旅とは、別の生に入っていく経験である。その土地の匂い、身体、空気、時間、言葉の訛り、まなざし、無関係な音に巻き込まれ、自らが形を失い、ひとつの地図になるような運動である。でっち上げられた死んだ関係性ではなく、生きたままそれらと交わりたいと思った。
(「あとがき」より)
旅の記憶を書くのではなく、記憶の奥にある感覚、言わば身体と接続し、今のものとして書くこと。旅という運動の直線上にある自分を捉えてみる。
晶文社スクラップブックの人気連載を全面改稿し、さらに書き下ろしを加えた、まったくあたらしい紀行文学。
ジャワ島、ハバナ、スリランカ、メキシコ、アッシジ、ドーヴァー、クレタ島、、
旅先で出会った数奇な体験と人々が著者の内面を揺さぶっていく。
解説:石川直樹
著者・装画:鳥羽和久 出版社:晶文社 2025 ソフトカバー 261p
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